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防災の基本は最悪の想定から

 今年は東日本大震災から丸10年ということで、マスコミを中心に防災に関する情報が多く流れていました。

こういう時期になると毎回同じようなテーマの記事を書いているのですが、正しい判断をするためには欠かせない要素なので、改めてご認識ください。

 

防災には「事前防災」と「事後防災」があります

防災対策は大きく分けて「事前防災」「事後防災」に分かれます。

読んで字のごとく、事前防災とは、予め対策を行うことで被害そのものを避ける対策のことで、事後防災は、万が一被災してしまっても困らないように準備しておく対策になります。

 

防災に関する記事をどうしても書かないといけないと思ってしまうのは、防災に関する報道のほとんどが事後防災だけがテーマで、事前防災についてはほとんど触れられないからです。

事前防災と事後防災とどちらが大事ではなく、どちらも必要な対策なのです。

 

防災グッズを買い漁る前にやるべきことがあります

防災の報道と言えば防災グッズですね。

各地で発生する自然災害の教訓を踏まえて、便利な防災グッズが次々と開発され、最近ではかなり便利な防災グッズが、お求めやすい価格で揃えることができるようになっています。

 

ただ、防災を考える=防災グッズを買うというのは危険な判断です。

防災グッズを買うだけで満足して、本当に検討しなければならないことが抜けてしまうからです。

防災グッズを買うことは事後防災です。

 

自然災害が発生した瞬間に生き残ったことが前提です。

生き残るためにやるべきことをまったく考慮しないのがどれほど危険なのかはご理解いただけると思います。

 

検討の順番が違うのです。

まずは事前防災を考えます。

事前防災は実施が困難なものが多いのですが、それでも事前防災から考えます。

事後防災はそのあとです。

防災グッズは防災対策の最後に買いに行くものなのです。

 

最悪の想定から事前防災が始まります

防災を考える上で欠かせないのが最悪の想定です。

地震が発生したら防災グッズを持って避難所へ行くというのは、地震で家が倒壊しない前提です。

どれだけグッズを揃えても家が倒壊して命を落としてしまったら意味がありません。

最悪の想定とは、地震で家が倒壊する可能性を検討するということです。

家が倒壊する前提でそれを避ける対策を考えることです。

 

地震だけではなく、津波は?洪水は?土砂災害は?

ハザードマップを眺めながら、まずは我が家の安全を確認します。

実際にハザードマップを見てみると明らかですが、自然災害に対して安全な家を探す方が難しいのがわかります。

 

例えば地震の場合は建築年月からおおよその耐震性が確認できます。

耐震性に不安のある住宅は耐震診断や耐震改修が必要ですが、改修工事が高額なためすぐに実現できるものではありません。

 

それから最悪の想定を前提に次善策を考えます。

例えば地震の場合は、家が倒壊することを前提とします。

一般的な木造家屋の場合、古い住宅の場合は1階・2階ともに総崩壊というのが起こり得ますが、多くの場合は1階のみが倒壊する状況となります。

 

つまり、地震で倒壊してしまう家の場合、1階に居続けることがリスクが高いことがわかります。

(2階が安全というわけではなく、1階が危ない家が多いということです)

日中ならば逃げることもできるかもしれませんが、夜間だとそうはいきません。

 

従って、倒壊が懸念される住宅の場合、なるべく1階に寝室を設けるべきではないという判断になります。

津波の想定エリアの場合は、想定される津波の高さを確認すれば、家に居続けることのリスクが明らかになります。

 

また、津波の場合は瞬時に高台への避難が必要になります。

津波は大地震とセットなので、地震で家を倒壊させてはいけません。

津波想定エリアは他の地域に比べて家屋の耐震性が重要な地域と言えます。

 

このように実際に被害にあうことを具体的に想定して、その上でどのように生き残るかを考えるのが事前防災です。

事前防災で大切なのは生き残ることです。

 

防災グッズの紹介で、防災バッグを持って避難というような表現が行われますが、日頃から避難訓練を行っていない限り、そんな余裕のある行動はできません。

とにかく命を守るためには瞬時に判断して逃げなければならない。

 

被害にあうと高確率でパニックに陥ってしまうことを正しく認識し、あまり多くのことを望まずに、まずはどのように行動すれば生き残れる確率が上がるのかをご家族でよく話をしておくことが大切です。

余談ですが、地震が起きると机の下に隠れましょう、という行動指針があります。

 

家具の転倒などから身を守るには有効な手段ですが、机の下に隠れても、2階の重さには耐えられません。

そんなことよりも逃げなければならない家はたくさんあるはずです。 

避難経路を具体的にする地震の例で続けます。

 

最悪の想定は家屋の倒壊に家族が巻き込まれて逃げようがない状況ですが、次善の対策として、半壊で済んだと想定します。

地震の瞬間を生き残ったら、次に行うべきは安全な場所への避難です。

 

玄関や廊下にモノをたくさん置いていませんか?

それらが倒れると大切な避難ルートを塞いでしまいますし、ガラス製品が割れると足をけがしてしまいます。

避難を想定して家を片付けることも事前防災です。

 

また、スリッパの有無も大きな影響を及ぼします。

避難用のスリッパを用意して枕元に置いておくのではなく、いざという時に備えて、底の厚いスリッパを履く生活習慣にすることが事前防災です。

 

このようにまずは我が家を総点検します。

高いところに置いてある重いものは凶器になります。必ず固定しましょう。

我が家の点検が終わったら、日常利用する通勤・通学路の点検です。

外で地震にあった場合、ブロック塀の側にいると非常に危険です。

 

いつも使う道で、ブロック塀がないか確認しましょう。

このように日常で利用する空間について検討し始めると、お金をかけなくても実施できる対策が意外と多いことに気が付きます。

 

当然防災だけを考えて生きていくわけにもいきませんから、ある程度で妥協するわけですが、防災意識を持つだけで結果が大きく変わります。

防災グッズを買い漁る前に、実施可能な事前防災がないか、日常の総点検をお勧めします。

 

事後防災は持続可能な手段を考える

事後防災については報道でもたくさん情報が出ているので、少し調べれば有益な情報をたくさん得ることができます。

お勧めなのは持続可能かどうかを判断基準とすることです。

 

よくある例が、緊急用の食料です。

お金をかけて準備しても、準備したことすら忘れてしまい、いざ必要になったら食べられないというのは十分に起こり得ます。

期限切れになる前に更新する必要がありますが、お金もかかりますし、手間もかかります。

お金を出して買う前に、定期的に見直しを行う習慣にできそうかどうかを判断基準に持つことが大切です。

 

避難グッズの置き場所も十分に検討します。

枕元に避難グッズを置くことが推奨されるのですが、これらのグッズは「オシャレ」ではないので、生活空間では完全な異物になります。

そこに存在することが受け入れられないものは、いずれ押し入れの奥深くへ追いやられるだけです。

 

生活の邪魔にならない、それでもいざという時にすぐに取り出せる、そんな置き場を考えることが、防災グッズを買う前にやっておくべきことになります。

 

防災についての話は尽きることはないのですが、今回はこの辺でまとめておきます。

事前防災も事後防災もどちらも大事ですが、事後防災の代表である防災グッズを買うだけではまったく対策になっていないことがご理解いただければそれは貴重な第一歩です。

 

文中にも記載しましたが、防災のために生きているわけではないので、必ずどこかで妥協することになります。

完全な防災はあり得ません。

いつ起こるのか、どれくらいの被害なのか、実際に発生してみないとわからないのが自然災害です。

ですが、だからといって何も対策を行わない、見て見ぬふりをするのは違います。

「起きてしまったものは仕方がない」と言えるのは、自然災害で生き残った人だけだからです。

 

防災は万が一の時に「やっててよかった」というものではありません。

万が一が起きた時に「やってなかったこと」を激しく後悔するものなのです。

大切な家族のためにやるべきことをきちんと準備しておきたいものです。

 

今後の住宅購入の参考にお役立て下さい。

 以上リニュアル仲介ネットワークでした。


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